●１枚のディスクに最大約45時間録音

　2004年1月8日、ソニーは１枚のディスクに最大約45時間の録音ができるＭＤの最新規格｢Hi-MD｣を発表した。
　新発売する｢Hi-MD｣規格専用の１GBディスクを使うと最大約45時間の録音が可能で、現行の80分ディスクでも｢Hi-MD｣機器で初期化すると、10倍以上長い13時間30分録音できるようになる。また、高い圧縮率と高音質を兼ね備えた音声圧縮技術を採用しており、CDクオリティに迫る高音質での長時間録音を実現している。現行ＭＤとの再生互換性もあり、これまでのＭＤをそのまま再生することができる。対応機器の発売は６月で、MDウォークマン３機種、デスクトップオーディオ１機種の仕様も今回発表した。
　ＭＤが登場したのは1992年。極私的オーナーはそれからかなり安くなるまで待ってMDウォークマン(録再タイプ)を買った（未だに我が家のＭＤはこれ１台のみ）。しかし、その後わずかで４倍に長く録音できる｢MDLP｣という新規格が登場(2000年)し、少々悔やしい思いをした。今度コンポなど据え置き型を買うときは｢MDLP｣が付いたものにしようと思っていたが、まだ買わなくて良かった。こんな画期的な新規格が登場するとは・・。

●ＰＣの外部記憶装置としても

　「Hi-MD」は録音だけではない。ファイルシステムに｢FAT｣を採用、録音だけでなく画像やテキストファイルなどのパソコンのデータファイルの記録もできる。また、パソコンとＵＳＢ接続するだけで外部ストレージ機器として認識されるため、携帯性に優れたリムーバブルメディアとして活用できる。データ記録も１GBディスクだけでなく、現行のディスクが使用でき、80分ディスクを「Hi-MD」に初期化すると305MBの記録ができる。「Hi-MD」はＭＯの代わりにもなり、ＭＯ以上に手軽になりそうだ。
　極私的オーナーの場合、パソコンの記憶装置はハードディスクとフロッピーディスク、DVD-RW(CD-RW)をそれぞれパソコン内蔵で持っている。データを手軽にバックアップ保存する場合、ＣＤやＤＶＤではディスク１枚単位でデータを記録しなければならないので手軽にはできず、フロッピーでは容量が小さすぎて使い物にならなかった。その点、ＭＤがデータ記録に使えるとなると、ファイル単位で記録、消去ができるので、手軽に使え、容量もそこそこあるので大変便利になりそうだ。ＭＯなど新たな装置を導入しなくても、オーディオ機器で兼用にできるところが良い。

●ハードディスクオーディオの気分も

　極私的底値表によると80分ディスクは１枚当たり98円で、まだまだ値下がりそうだ。98円で13時間30分も録音できるとなると、かなりお得である。また、１GBディスクを使って約45時間の録音が可能となると、このようなこともできる。
　前からハードディスクオーディオがほしいとも思っていた。お気に入りの曲を大量に詰め込んでおいて、いつでもボタンを押すと曲がランダムに再生されるという有線放送を聞くような環境がほしかった。｢Hi-MD｣の１GBディスクの容量を45時間、１曲６分として計算してみると450もの曲が１枚のディスクに入る。｢Hi-MD｣はハードディスクオーディオの代わりにもなりうるのである。また、ハードディスクとは違いＭＤはディスクの交換が簡単という利点もある。ＣＤアルバムの曲数が12曲として計算するとすると、アルバム37枚分が入る。

　結論を言うと、｢Hi-MD｣は従来のＭＤとハードディスクオーディオとＭＯの機能を兼ねた１石３鳥のたいへんお得な機器なのである。ＭＤ機器を買おうと思っている人はぜひ、６月まで待つべきである。また、ＭＯなどパソコンの外部記録装置を買う予定の人も「Hi-MD」を検討範囲に入れるべきだと思うのである。